給水塔	これにはかなり立派な浄水施設が付帯しているが，  このタイプの事業でも，井戸水がそのまま飲用可能であれば，  浄水施設は設置されない．
村落浄水システム Thung Bua村 11班 Ra-ngaeng区Sikhoraphum郡Surin県 施工者 内務省  公共事業局 維持管理者 Ra-ngaen区評議会
事業標	水道のメーターが各戸に設置されている． 水道代は村によって異なるが、4バーツ前後のところが多い． この村では4バーツ．

■内務省公共事業局（その2）
太陽電池で揚水するものである．カンボジア国境付近の村では，下記の国王事業にも見られるように，どうしたわけかタンク型の大きな浄水設備が付帯している．ちなみにこの浄水設備はバンコクの企業（Dynamic System）の製品である．
このタイプの事業では，飲用を目的としておらず，浄水を行なわない施設もある．
　

	太陽光線エネルギー電力利用による農村開発事業   飲料水及び農業揚水目的揚水   内務省   公共事業局   予算年度 2540年   xx（判読不可）村 3班 Ta Tum区 Sangkha郡　  Surin県
給水塔がないのは，集落より高い丘の上に  建設されているためである．	事業標　 太陽電池揚水装置については国王事業の項をご参照頂きたい．

 
　

■工業省地下資源局
 

	農村水道システム 　　　　　 Thanakhan Kｈao Sitruk村 第 6班 　　　　　 Dom区 Sangkha郡　　　　　 Surin県 　　　　　 施工者 工業省 地下資源局 　　　　　 維持管理者　村落水道管理委員会 （2539年）
給水塔　 あまり貯水効率が良くなさそうだが．．．  給水塔の左下の容器は浄水設備． 密閉されているので構造は 良く分からない．	事業標 括弧内の年は仏暦で，これから543を引いた値が西暦（つまり1996年）． 村落名の"Thanakhan Khao"は「米銀行」の意味．この辺りは近年まで高利（年5割）の米貸しが多かった．それに由来するのだろうか？

 

■保健省保健局
村落向けのもの．
　

給水塔と浄水施設（給水塔右下）	地下貯水タンク

■保健省保健局（その2）
田舎には数村に一個所，保健局による診療施設（「アナーマイ（保健）」と通称される）が設置されている．こうした診療施設に浄水は欠かせないので，保健局によって，小規模な浄水設備が，診療施設の敷地内に設置される．
 
 

	Thunran村落水道システム 第4班 Phakmai区 Sikhoraphum郡 Surin県  農村水道部 保健局 予算年度 2536  水源 保健局所有φ4niu井戸
中央は塩素投入設備．後ろには半地下の浄水タンク．	事業標．（1niuは約2センチメートル）

 
 

■区自治体評議会
「xx年度区開発事業」の一環として建設されたもののようである．
給水塔・浄水設備ともに内務省農村開発局のものと同じ．
 

	2539年度区開発事業 村落水道改善事業 Nong Du村 9班 Dong Muang Em区 Khao Suang Khang郡 Khon Kaen県 予算 115,189バーツ 施工期間 2529年3月12日-4月30日 施工 Dong Muang Em区評議会
タンクにOo Boo Too  （区評議会）の文字．	事業標

 
 

■村民
政府による建設を待たず，村民自身で建設してしまう場合もある．

Nong Don村の事例
 

給水塔も村民の技術で建設された．工期は1ヶ月ほど．  建設業に携わっていた人が手がけたという．  水源は井戸．	寄付者・寄付額一覧． 103人から合計128,258バーツの寄付を集めている． 寄付額は20バーツから最高5,009バーツまで．100〜500バーツの寄付をしている人が最も多い． 寄付者は一般個人のほか農民銀行（151バーツ），議員（500バーツ程度），他村の村長（100〜500バーツ），バンコクの私企業など． 住民主体の地域づくりに重要なのは集金力なのか．．．？

給水塔が立っている土地は，ある村民の私有地であって，土地を提供したその村民は，水道代が免除されている．この村の水道代は1立米当り5バーツ．30戸ほどが利用している．
  ※追記：2000年11月にこの施設の前を通りかかったところ，寄付者掲示板が毀れ，剥がれ落ちていた．．．

Ten村の事例
 

手前が衛生局のもの．  奥の，やや小さいのが，  村民によって建設されたもの．	ポンプ小屋（左），ろ過施設（中央），タンク（右手前）などが並ぶ．
	「同胞精神で積み立て金は大きく膨らむ．」
沈殿槽	村民建設の給水塔に掲げられた標語．

村民が資金を自己調達して建設した施設を，後に衛生局が増強したもの． 水道代は1立米当り3バーツ．
　

■プミポン国王
農民の支援に非常な熱意を傾けておられるプミポン国王陛下の事業である．
カンボジア国境付近の山村など，へき地で多く目にする．Khalenwek村は国境の非常に近くにあり，途中，検問所を何箇所か通過せねばならない地域にある．この水道施設のそばには簡単なトーチカが設置されている．
他の国王事業と同様，実施するのは内務省や軍である．
 

	陛下よりの御心の水 事業 水道管配水システム導入による飲料水問題解決事業 XXXX年 設置実施者 軍第2部隊 Kalenwek村 Tatum区 Samgkha郡 Surin県
給水塔と浄水施設は公共事業局のものと同じ．	事業標 この場合は軍が工事の実施を請け負っていることが分かる．
	陛下よりの御心の水 事業 水道管配水システム導入による飲料水問題解決事業 2534年 設置実施者 軍第2部隊 ｘｘ村 ｘｘ区 Bua Chet郡 Surin県
太陽電池	事業標

タイ国民が国王に対して抱く深い崇拝と敬愛の念は，政府が政治に対する国民の不満をそらすことを目的に，国王を祀り上げ，作り上げたものだともいわれる．ただ，ともかく，政治の恩恵に預かれない人々にとっては，「自分たちのことを考えてくれるのは陛下しかいない」のである．

■地方水道公社

　「農村の生活用水」というテーマからは少し離れるが，比較のためにも，都市水道についても紹介しておこう．

　郡庁所在地など地方都市の水道事業は，内務省管轄の地方水道公社によって行なわれている．

　浄水場は通常，都市から数キロメートル離れた郊外に建設されており，そこからパイプラインによって送水が行なわれる．下はSurin県 Samrong Thap郡に給水しているもの．水道代は1立米あたり7バーツ．
　

全景． 給水塔（左端），ポンプ小屋（中央），地下貯水池（中央手前），  ろ過槽（中央右寄り），塩素投入装置（ろ過槽横），管理塔（右端）	ろ過槽（左）と塩素投入装置（右）
地下貯水槽　 浄水は一度貯水槽に貯められ，	ポンプで給水塔に上げられる．

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