灌仏会

28mmで撮った写真を，無理やり拡大しているので，遠景の写真は汚いです．あしからず．

灌仏会(2001.04.13-15)
――タイ正月ソンクラーンの水掛祭り――

ソンクラーンもまた，「水掛祭り」として日本で有名である．ソンクラーンはインド，スリランカからラオスにかけての地域での正月であって，「灌仏会」と訳されているように，もともとは新年にあたって家中の仏像を集め，水で清める儀式であった．これが転じて水を掛け合って遊ぶようになったらしい．

ソンクラーンは，1年に2度あるタイの「薮入り」の一つで，農村では，バンコクなどに定職を持っている子供たちも含め，親戚一同が会し，一時の賑わいを見せるときでもある．

都市部の水掛け（コンケン市の場合）2001.04.13/14

通りに面する家の前に，桶や水道のホースを持って，人が待ち構えている．路面が濡れているので，遠くからでもそれと分かるが，結局どこに行っても水をかける人がいるので，避けようがない．
右側写真のピックアップの荷台に人が乗っている．これは，荷台に水瓶と水鉄砲，桶などを搭載し，車上から攻撃をかけるもの．

　

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交通整理をする警官．この日ばかりは警官も愛嬌を振りまき，人気の的になっている．車を制止して，フロントグラスにハートの絵を書いてみたり，水を掛けられ，水鉄砲で反撃してみたり．
中央の警官は，交通整理をしながら音楽（China Dolls: "O-o-o"）に合わせて踊っている．

水掛祭りの指定会場？
通りを水掛部隊を乗せたピックアップがゆっくり通り，その両脇の人々と水を掛け合っている．

　

　

閑散としたコンケン大学の構内．
大概の学生は帰省したり遊びに行ったりしているが，なぜか大学に残って，構内なんかで水掛をしている者もいる．時々通るバイクをとめて水を掛ける．Uターンして逃げるバイクもある．あまり濡れたくない状況だったが，「今日はソンクラーンですよ」と言われると，あまり本気で逃げるのも悪い気がして，水を掛けられる．

農村部の水掛け（アムナーッチャルン県のとある農村）2001.04.15

　

いとこ同士．ソンクラーンで親が帰省して，久しぶりに集った．
速いスピードで通りすぎる車に水を掛けるには，かなり手前に水を「置く」ことが必要である．このタイミングはかなり難しいが，タイ人は子供もこの技に熟達している．
乗用車の多くは，水を掛けられることを嫌う．この車も右車線によって避けている．パッシングで威嚇して通りすぎる者もいる．

　

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相手が水掛部隊を積んだピックアップの場合，路の真中に立ちはだかり，制止しておいて・・・
水を掛ける．足場が悪く，ねらいもつけにくいため，車の上のほうが不利である．

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多くの乗客に水を掛けることが出来るため（？），バスや乗合ソンテウは格好の標的である．
実は右写真のバスのバックミラーが，この攻撃によって破損した．80km/hくらいで走るものに，水の塊がぶつかるのだから当然といえば当然．
で，彼らはどうしたかというと，水を掛けた当人一人だけを逃がしておいて，バスの車掌には，「やった奴は逃げたよ」と平然として（平然を装って）答えたのである．車掌は何か言いたげであったが，どうすることも出来ず，バスに乗り込んで去っていった．タイを長年研究してこられたある先生が，「タイ人に『東条英機は戦争に負けた後，なぜ逃げなかったのか』と問われて答えに困った」ということを書いておられたが，なんだか分かった気がした．（そう言えばピブーン=ソンクラームも逃げた．関係ないか．）

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タイ人は，良きにつけ悪しきにつけ，採り入れられる物なら何でも採り入れてしまう柔軟さがある．伝統行事とて例外ではない．このソンクラーンには特にそれを感じる．

ピックアップを利用しての攻撃など昔はもちろんなかったろうし，氷を入れた冷水で，相手により多くのダメージを与えるということも，誰が考え出したのだろうか，かなり広まっている．水鉄砲も使うし，水道のホースで直接攻撃する者もいる．

ソンクラーン以外では，バンファイでも伝統技術にとらわれず新素材をどんどん採り入れて性能を向上させているし，祭りのときなど，老人がロックや果てはテクノに合わせて踊っている光景をしばしば目にする．

思うに，「古いもの」と「新しいもの」の区別が日本ほど明確ではなく，「古いもの」を殊更特別視することがないのではないか．日本の伝統行事のいくつかは，中身が抜け落ちて外の殻だけをなんとか維持している状態（たとえば神輿の担ぎ手がいなくなり，台車で神輿を運んでいるような村祭り）にあるが，タイの場合，元より殻が存在せず，中身が自由に膨張・変化して行く．中身がなくなれば消える．殻は制約であるとともに社会の支えでもあるから，どちらが良いともいえないのであるが．

ソンクラーンで多用される水鉄砲．
期間中，街角の出店などで30バーツほどで売られている．10mは裕に飛ぶ．

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交通整理をする警官．この日ばかりは警官も愛嬌を振りまき，人気の的になっている．車を制止して，フロントグラスにハートの絵を書いてみたり，水を掛けられ，水鉄砲で反撃してみたり．中央の警官は，交通整理をしながら音楽（China Dolls: "O-o-o"）に合わせて踊っている．		水掛祭りの指定会場？通りを水掛部隊を乗せたピックアップがゆっくり通り，その両脇の人々と水を掛け合っている．


閑散としたコンケン大学の構内．大概の学生は帰省したり遊びに行ったりしているが，なぜか大学に残って，構内なんかで水掛をしている者もいる．時々通るバイクをとめて水を掛ける．Uターンして逃げるバイクもある．あまり濡れたくない状況だったが，「今日はソンクラーンですよ」と言われると，あまり本気で逃げるのも悪い気がして，水を掛けられる．


いとこ同士．ソンクラーンで親が帰省して，久しぶりに集った．		速いスピードで通りすぎる車に水を掛けるには，かなり手前に水を「置く」ことが必要である．このタイミングはかなり難しいが，タイ人は子供もこの技に熟達している．乗用車の多くは，水を掛けられることを嫌う．この車も右車線によって避けている．パッシングで威嚇して通りすぎる者もいる．

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相手が水掛部隊を積んだピックアップの場合，路の真中に立ちはだかり，制止しておいて・・・		水を掛ける．足場が悪く，ねらいもつけにくいため，車の上のほうが不利である．

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多くの乗客に水を掛けることが出来るため（？），バスや乗合ソンテウは格好の標的である．実は右写真のバスのバックミラーが，この攻撃によって破損した．80km/hくらいで走るものに，水の塊がぶつかるのだから当然といえば当然．で，彼らはどうしたかというと，水を掛けた当人一人だけを逃がしておいて，バスの車掌には，「やった奴は逃げたよ」と平然として（平然を装って）答えたのである．車掌は何か言いたげであったが，どうすることも出来ず，バスに乗り込んで去っていった．タイを長年研究してこられたある先生が，「タイ人に『東条英機は戦争に負けた後，なぜ逃げなかったのか』と問われて答えに困った」ということを書いておられたが，なんだか分かった気がした．（そう言えばピブーン=ソンクラームも逃げた．関係ないか．）