Mekhong
―――メコンを見ながらメコン―――
mekhong_khuatbaen

オフィスの戸棚に長期間放置されている飲みさしのメコン.

 タイの酒といえばメコンだという人も多いだろう.日本国内のタイ料理・雑貨屋にも,わざわざタイから輸入したのであろうメコンが,笑ってしまうほどの高値で売られている(元は庶民の酒なのに).また,さる高名な日本人タイ研究者が「メコンを見ながらメコン」とベタなことを言って失笑を買ったとか買わないとか.ともかく有名である.

 しかしタイ人はメコンばっかり飲んでいるわけではない.ハイソな連中は見向きもしない.農民が飲むのはラオカーオかビアチャーンがほとんどで,都市の庶民層でも,ウイスキーを飲むならSang Somなど同価格帯の他のウイスキー(もどき)という人も多いのである.

 メコンは一般にウイスキーとされているが,ビンには何も表示がない.安いラムみたいな味とにおいがする.タイはサトウキビの産地だから,たぶんラムではないか?ソーダで割って飲むと,ほのかにアミノ酸の味がしてなかなかコクのある味わい.ストレートで飲むのは少しシンドイ味とかほりだが,氷やソーダがない時は,ラオカーオと同様の飲み方(ストレートで回し飲み)をする.(数年前,10年くらい瓶詰めのまま保存された(放置された)メコンを飲む機会に恵まれた.この古メコン,不思議なことに普通のメコンとまったく違う,なかなかにいい酒であった.熟成すると良い味になるのか,はたまた昔と今とでは製法・原料が違うのか.ひょっとしたら「メコンを見ながらメコン」の先生も,昔の古きよきメコンに親しんでいたのかも知れない.)

 なにはともあれ,メコンがタイの代表的な酒であることは争いのない事実.中年層には熱烈なファンも多く,金がないわけでもないのにメコンしか飲まないという人もいる.「われら角瓶党」ならぬ「われらメコン党」―――そういう酒である.

メコンを見ながらメコン.(Ban Boung Kha, Champasak, Lao PDR)


■価格:

■アルコール度:35%

■製造元:


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