Kamphaeng Yai

裏側(西側)から見た遺跡.奥には仏教寺院の新しい本堂が見える.

 ガンペーンヤイ遺跡は規模は小さいながらお勧めの遺跡.この遺跡のためだけに遠路でかけるのはどうかと思うが,遺跡めぐりをするなら行程に組み込んでも良いと思う.回廊などあり,なかなかに楽しめる.(一説によれば,タイ国内のクメール遺跡の中では3-4番目に重要なのだそうだ).現在は仏教寺院(ワット=サ=ガンペーン=ヤイ)の境内に完全に含まれており,周囲には本堂や説教堂,僧坊,僧侶学校などの施設が並ぶ.

 建設は11-12世紀(Baphoun style).最初はシバ神の神殿として建てられたのを,13-14世紀に仏教施設に改築したとある.ラテライトや砂岩で建てられた回廊の中には,

  • 最前面(東側)の両脇に配置され,西を向いた煉瓦造りの宮殿2棟
  • 中央に位置する砂岩の主塔および主塔と同じ台座に乗り,主塔の両脇に並んだ煉瓦造りの塔2棟
  • 裏の塔1棟

    というあわせて5つの建物が並び,そのそれぞれの入り口のマグサ(楣)には,レリーフが施されている.どのレリーフも比較的保存状態がよい.回廊はラテライト,主塔・レリーフは砂岩,その他はレンガで造られている.

    ある先生が言うには,クメール遺跡のレリーフの中に,神様が寝転びながら侍女の乳房を足で弄んでいるものがあるとのことだが,これだろうか.そのように見ればそのように見えなくもないが,そのように見えるだけと言えなくもない.(北側の宮殿)

     線路を挟んで東南には,サ=ガンペーン=ヤイ(大きな塀の池)と呼ばれる,恐らくはこの遺跡の名前の由来となっている大きな池がある(クメール遺跡の名前は,たいがい後世に付けられたもののようだが).もともとはクメール遺跡に接している池(バライ)の常として南北方向を向いたきれいな長方形であったのだが,南に隣接して""型の池が掘られ(1975年以前),その後さらにその池と連結されてしまい(数年前),昔の地図や航空写真を見ながらでなければ,ただのいびつな形のため池であるとしか見えないような姿になってしまった.池の辺には浄水施設が建設され,ウトゥンポンピサイ郡に生活用水を供給している.

     ガンペーンヤイ池(バライ)の南には,一直線の土手が東西に伸び,蛇行しながら北から南へ流れる川を横切っている.こうした土手を指して「ガンペーン」と呼ぶこともあるから,この土手が池の名前の由来であるかも知れない.かつてこの土手に沿って掘割が伸びており,バライの西にある古い集落の周囲に掘られた環濠につながっていた.この掘割は環濠に川の水を供給していたというが,水田の拡張により掘割が埋められてしまい,この土手がどのように機能していたのか,かつての様子を想像するのは難しい.

     


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