Beer Chang
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 昔,ビールと言えばビアシンか外国産ビールで,価格的にとても庶民,とくに農民に手が出せるものではなかった.そうした状況の中,圧倒的な安値で登場し,市場を獲得したのがビアチャーンである.チャーン登場前までビアシンでタイビール市場を独占していたBoon Rawd Breweryも,チャーンに追随してリオやスーパーライオンなど同様の低価格帯ビールを次々に出してはいるものの,恐らくはチャーンの優位を覆すには至らないだろう.庶民層は初の低価格ビールであるチャーンに慣れ親しんでしまっているし,慣れ親しんだが最後,離れられない独特の味わいをチャーンは持っている.チャーンはビールではなく,「ビアチャーン」という新しいアルコール飲料であるといっては,さすがに言い過ぎかも知れないが.

 味は非常に濃い.しかし,リオがシンの品質を落としただけ,スーパーライオンがやたらと濃く苦くしようとして混ぜ物くさくなってしまっているのに対して,そうした不自然さはない.非常に巧みに造っている.原料・品質表示がなく,いったい何からどのようにして製造しているのか分からないのが,やや不安ではある.アルコール度表示もない.15度あるというタイ人もいるが,さすがにそこまではない.タイでは15度前後の酒が飲まれることがあまりないから,多分,そのあたりタイ人は良く分からないのだろうと思う.でも,10度ないとは言い切れない.

 飲みすぎると,翌朝テキメンに頭痛である.いったい何が入っているのだろうかね?ラオカーオを飲みすぎると,やはり翌日様々な体の不調に苦しむことになるが,それは純粋にアルデヒドの作用によるもので,ビアチャーンを飲みすぎたときの不調はこれと異なる.つまり,悪酔いする.

 ラオカーオ同様,タイ社会の中では「田舎者のビール」といった位置付けだろうか.以前,ある大学助教授(タイ人)と焼肉を食べに行き,ビールを注文する段になった時,その先生曰く,「私はタイ人だからタイのビールを飲むのだ」(愛国心に訴えて,国産ビールを売ろうとする広告宣伝が最近特に多い).しかしその店にはタイ国産ビールと言えばチャーンしかなく,その先生はしばしの逡巡の後,ハイネケンを注文していた.大学生もチャーンはあまり飲まない.日本では安酒といえば学生の独壇場といった感があるが(最近は違うかなあ),タイの学生(特に有名大学)は上流階級出の連中が多いのである(農学部はこの限りではない).

 私は庶民との付き合いのほうが圧倒的に多く,また,私自身も「田舎者」なので,ビールといえば大体チャーンを飲む.そして翌朝,頭痛を抱えて仕事に行くのである.


■価格:30-35Baht(大瓶630ml)
 顔なじみの商店で買うと安い.

■アルコール度:記載なし

■製造元:Carlsberg Beer Thailand (CBTL)
             


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